お便り二つ その1

SK氏より→《声、千秋楽で声が品切れどころか、三段目の 面白いところ堪能しました。
いいクライマックスですよね。
巡業の「弁慶上使」、どこかで 追っかけしたいです》~日本で五指に入るくらい邦楽に詳しい方です。
嬉しいお言葉感謝します。

それから只今文楽熱中度、日本で五指に入るIN様よりの力作です→《初日から数えて12回目の第二部、今日は千秋楽。
9列24番、ベストポジションでした。
満員のただならぬ熱気が、客席から漂い、舞台もこのテンションに呼応するかのように気合いがみなぎっていました。
千秋楽の魔物が憑いたのは英大夫でした。
初日からハイテンションで飛ばし続けていらしたお姿をつぶさに観て、聴いてまいった私でございましたから、おそらくはもう楽日前あたりから限界ギリギリ状態ではないかと心配しておりました。
環の宮・奥 、英大夫と団七さんが床に出現すると、熱をはらんだ場内の空気がぐぐっと動き出すのを感じました。
後方から、粋な掛け声、「待ってました!」に先導されて、今回11回目の英さんコールを掛けました。
あまり間をいれず、速やかに、しずしずと、語りが始まりました。
すぐにおやと思いました。
初日に比べて、ごくごくわずか、気づくか気づかないかの程度ではありましたが、乾いた、張り詰めているような、緊張感が、声に感じられたのです。
気のせいでしたら失礼な勘違いでございますが・・ 「太鼓の音のかまびすし」で、全身鳥肌が立ちました。
このとき私は始めて、大夫という職業が、どんなに過酷で、厳しいものかを、ダイレクトに体感しました。
声量は、初日とまったく変わりません。
従って、ここでおおきく形をとる貞任~玉女さんは、気持ちよくのびのびと見事に決めてくれました。
声帯が悲鳴をあげ血を吐こうが体力が限界にきていようが、舞台に上がったらただただやり遂げんとの意気込みがビリビリと伝わってきました。
舞台に、語りに命を賭けて臨むを潔しとする大夫の崇高なる美学を垣間見たような思いがして、思いがけなく涙がど~っと溢れて止まらなくなってしまいました。