「明日、お園になる私」←鶴見佳子さんより。

嬉しいお便りです~→《昨年7月からお稽古してきた義太夫。
明日、初めての発表会に出ます。
艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)の酒屋のさわり。
ヒロイン、お園のくどきの場面です。
発表会直前に、お師匠さまが個人レッスンをしてくださいました。
私は8日のレッスン日のうち4日だけ参加。
 1日目(8月1日)18:45。
なんと、最初の1行を忘れて、言葉が出てこない。
立ち往生(号泣)。
頭、真っ白。
「奈落の底」に落ちた。
先輩のお稽古をテープに録って自 宅で拝聴。
カワカミさんもツボタさんも、のびのび語ってらっしゃる・・。
なのに私はこの1年、何をしていたんだろう、とさらに奈落の底に。
 2日目(8月3日)20:15。
本来レッスンには申し込んでいなかったのに、初日の失敗に不安が募って、この日、お稽古を追加申し込み。
忘れたらどうしようと思うと、気があせる。
だから、どうしても語り急いでしまう。
「あかんっ、早いっ」と何度怒られたことか。
「できてるんだから、ゆったり構えて」。
ゆったりしてる間に忘れたらどうしよう・・。
案外、私って小心だ。
心臓に毛ぇ生えてると思っていたのに。
 3日目(8月6日)18:00。
早めに行き、自分の番が終わっても遅くまで残り、先輩たちのお稽古を聴いた。
聴くってホントいいお稽古。
難しい個所は誰にとっても難しい。
そんな個所への指導一つひとつが身にしみる。
払ったのは自分一人分のお稽古料なのに、ひと様のお稽古を聴くのは無料・・と、自分の出番が終わるとそんなことを考えるゆとりが生まれてくる(現金なやっちゃ)。
自分が苦手な部分を難なくこなす先輩を目の前にすると、すごいな~と感心するばかり。
 4日目(8月8日)18:45。
この日が私の最後のお稽古日。
本番は着物姿になるので、今日は浴衣に半襟、足袋をつけて行った。
暑っつぅ。
いつもは目の前で座ってくださるお師匠さんがいらっしゃらない!今日は、こちらからは見えないところに座られ、そこで細部をチェック、メモをとり、あとで厳しく教えていただくスタイルという。
目の前にいると思っていた人がいないだけで、相当パニクった。
ひえー、突然、谷底に落とされた子獅子だよ~。
街の中で迷子になり、親を探して半狂乱になっている子どもの気持ちすらわかったわ(もう47歳のくせに)。
しかし、容赦なく始まる団吾さんの三味線。
あぁ、始まってしまった。
こうなりゃ前へ進むしかない。
行くのだ、私!途中で、苦手な部分にさしかかる。
不安が頭をよぎると、だんだん自信がなくなってくる。
誰か何とかして~。
もうどうにでもして~。
頭の中で、いろんな気持ちがミックスサンドになっている。
この時初めて、あることに気付いた。
今、自分が間違えたな、と思ったのに、間違えた私に三味線をアレンジしてくださっている。
出来の悪いのをカバーしてくださっている。
団吾さんはこれ、生徒の数だけやってらっしゃるんでしょうね。
すごいっ。
恋に落ちそうな気分。
この日、お師匠さんの最後の指導のお言葉は「よぅテープ聞いておきなや」。
忘れやすい個所は、あそことあそこ。
忘れやすいから、どうしても出が遅くなる。
今なお克服できていない個所はあそことあそことあそこ。
最後から3行目のあの部分があかんと、何度もお師匠さんから言われている・・。
25人の参加者のうち私の出番は22番目。
最初は、21人分をドキドキして待つのはどうしたもんだろう、なんて私は「くじ運」が悪いんだろう、と悩んでいたのだが、ここにきたら逆転の発想じゃ。
私の前の上手な先輩21人を聴きながら稽古ができるやないか、と。
お稽古、いろんなことが見えてきます。
明日、がんばりまーす。
》←お稽古を受ける立場の心境がひしひしと伝わってきますね。
ありがとうございます。