鶴澤八介君(49才)との思い出。

国立劇場の三味線研修生だった彼と、その卒業試演会で『三十三間堂棟木由来・木遣り音頭の段』の役がついた時、稽古の帰りに寄った喫茶店で、映画について彼が熱っぽく喋りだした事や、彼が文楽に入ってスグの忘年会で『男はつらいよ』の渥美清がするタンカを美事に真似て披露したこと、今はメジャーになったチーボー(綾戸智絵)が大阪南の八幡筋のライブクラブで弾き語りしていた頃、興に乗った彼が、ひとり、スウィングしながら踊り出したこと、そして、1997年1月の研修発表会で『合邦』一段の大役を与えられ、暮れ正月を返上して50日も二人で稽古したこと…。
内に情熱を秘めた、好漢『八っちゃん』でした。