七日目。

謡を語り出す時。
口上のトウザイ(東西)~の声が途切れる。
会場はシーン~。
深い息を静かに吸い込む。
三味線の弾く気配がない。
太夫のボクは音程をイチカバチカ定め、腹に力を込め、吸い込んだ息を音として客席へ流し込んでいく。
語り始めの耳の奥には各種の音の残像がイメージされている。
盆の上で、床世話の鈴木さん、広瀬君と交わした会話、舞台監督のヨロシイデスカ、そして、口上・・の音調。
それらを払拭した上で、客席空間に、改めて自分のオトを切り刻む。
出だしの一節は息がいっぱいになってもうて、いつもサイゴのことばが途切れ加減。
さて、三味線の調子はドンナンヤ?