千秋楽

朝、スーツに着替えて咲大夫兄のところに挨拶にいく。
600人収容のプーシキン劇場が八日間連日SOLD OUTで関係者一同皆、ほっ。
朝食のあと洗濯&風呂。
ワイシャツ二枚とスポーツシャツ一枚とズボン一本をアイロンがけ。
昼過ぎからトレチャコフ美術館へ。
17~19世紀の絵画に絞り鑑賞。
当時のロシアの世相を反映した生々しい絵を一時間半かけて興味深く見る。
あの頃のロシアの貧富の差、女性差別、戦争の残忍さを見せつけられた。
絵は鋭く社会批判をしている。
今日の千秋楽は補助席が出た。
盛り上がったカーテンコールの模様をコッソリ動画で撮った。
最後の最後までモスクワっ子は文楽を身体中で楽しんでくれた。
夜、最後の赤の広場を楽しんだ。
クレムリンの城壁の両翼に細い塔がのびていてその上に赤い星が燦然と輝いている。
幅4メートルで2トンの代物(強風よけの為、風見鶏風回転)だ。
ロシアでは赤はBeautiful!という意味だ。
しかし、夜のあの赤い星は不気味そのもの。
革命後スターリンに粛清された百万人もの犠牲者の血の色に見えてしかたがない。
夜11時半の赤の広場のモスコーカフェに座ってる僕は左におとぎの国みたいなワシリー寺院を見、右にでかいチョコレートケーキの玩具みたいな歴史博物館を見、前にライトアップされたクレムリンの巨大な城壁、後ろにはグム百貨店の豪華この上ないイルミネーションを背負っている。
城の両翼に妖しく輝く2つ赤い星と僕の目の前にあるブラッディメアリーのトマト色が逆三角形をなして迫ってくるのだ。
と、希大夫が広場で写真を構えてる咲甫大夫君を見つけ、共に千秋楽を祝った。
小腹がすいたので、ホテルに帰りレストランで3人でボルシチとパスタ。
文楽協会の下村次長と小出さんらもいて今回の盛り上がりに乾杯。
なんと、咲大夫兄も偶然顔を出され、皆でまいちと乾杯!