『完本文語文』(山本夏彦)文春文庫

昨夜、荒木薫氏が掲題の文庫本を持参され、私が頂戴したが、なかなか興味深い箇所があった。
中江兆民(明治34年12月没)が没する半年前に書いた文です→《もし一葉落ちてすず風が立ったなら大阪堀江明楽座と御霊文楽座で、なお両3回大隈太夫、越路太夫の義太夫を聴き、玉造、紋十郎の人形を見ることができたら、この娑婆におさらばして未練はない。
これら傑出せる芸人と時を同じくするを得たるは真に幸い也、余いまだ不遇を嘆ずるを得ざるべし》