『十世豊竹若大夫、晩年の奏演をめぐって』

内山美樹子早稲田大学文学部教授の論文。
去年、発表されました。
今年の四月で若大夫没後37年。
時の試みに浄化された内山教授の筆致リズムは痛快であります。
教授と早稲田大学演劇博物館の了承を得て、縮小版の論文をこのたび当ホームページに掲載できることになりました。
ひと月後には掲載できるでしょう。
今しばらくお待ち下さいませ。
戦後の文楽は、先代綱大夫・越路大夫を経て現代へつながる、山城少掾一門の語りの流れが圧倒的主流をなし、若大夫の名前はその勢いに埋没されている状況です。
しかし、入門してまもなく私は二ヵ月程、先代綱大夫師匠の家で内弟子修業させていただいたのだが、その折、師は私に『お前のおじいさんはホンマの大夫やったなあ』と、ポツリ仰ったことがある。
それからまた、越路師匠宅での内弟子時代にも、越路師は『お前のおじいさんが横綱としたら、ワシラ、小結くらいで丁度ええんや』と、言われた。
いずれも、二人きりの時だった。