東風と西風について・NO.2

他に《染太夫風》とか《麓風》とかいうのもあってややこしいのです。
同じ《麓風》でも、先代綱大夫師と越路師とでは『太功記十段目』の節回しに若干の違いがあります。
東風と西風に関しても、色々な場面に於いてしかりです。
しかしボク達はそんな名称で稽古してもらうんちゃいまんねん。
節そのもの、コトバそのものの口伝なのです。
ところで、ごくわずかな評論家の先生とか新聞記者の方とかごくわずかの一般文楽ファンの方達が、よく、『東風』とか『西風』というような言葉をつかわれますが、このへんちょっと厄介な面がありまんねん。
越路師匠が現役バリバリの頃、新聞評に東風とか西風とか麓風とか書かれているのを見るにつけ、嘆息まじりに『ワシでも正確に東風とか西風とかようわからんのに、このひとどういうつもりで書いてんねんやろ。
いちど、その違いを語って聞かせてもらいたいわ』と仰ってました。
そのへんのとこがチョイト厄介…