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南座の『勧進帳』について

京都新聞の取材を受ける。
弁慶の人形を遣う玉女ちゃんと二人。
配役を見た時、びっくりした事や、最近、大役が続くことへのプレッシャー等を話した。
なんだか無理みたいな気がする。
玉女ちゃんも同じことを思っていました。
変な安心。
その前に難関の『封印切』。
彼も忠兵衛(今、文吾さんの代わりもしている)がある。
夏の本公演は彼もボクも『団七』。
エエんかいな。
『封印切』の方も全く自信なく、今先行して前半の部をスムーズに勤めている、津駒大夫さんと千歳大夫君を尊敬してます。
なんとか、ナントカ乗り越えて行きたいものです。

清介さんは浄瑠璃好き

今日も『封印切』の稽古。
なかなか、シックリいきまへん。
むつかしい演(だ)しものでんなあ。
ダンナイ、ダンナイ、大事ないとは、言(ゆ)うてられまへん。
三味線の清介さんが、稽古中にいろいろヒントを与えてくれまんねんやわ。
彼は前に嶋大夫兄と勤めていますし、ジョーロリ好きで、エエこと言います。
三味線弾きさんは女房役。
カミナリがズドンと近所に落ちても眠りから覚めないのに、隣りに寝ている子供のほんの微かなイビキに目を覚ます母親のように、大夫のイキを窺ってくれているのです。
カスカスになっていても、息を出さんとアキマヘン。

笑福亭小松という人

『封印切』の稽古の後、私の大事なお客様の奈良恵友堂(漢方)会長が主催する『明日の健康を考える集い』(天満橋・エル大阪)に行く。
人間の体には生まれながらにして「免疫」という、人体を病原菌等から守る生体防御の機能が備わっています。
その免疫力を高め、制ガン効果を発揮するのに、細胞の表皮を形成する多糖体(炭水化物)が、大きく関わっているのだそうです。
最近、自然治癒力を啓発する代替医療(だいたいいりょう)に、お医者さん達も積極的に取り組み始めています。
大学教授や病院長の先生のお話しの後、落語家の笑福亭小松が登場。
40才で胃癌になり、手術の1年後、周りの制止を振り切って、「死んでもかめへん」気で、日本列島徒歩縦断の旅に出たこと等、たっぷり1時間の話。
入院中、四国から見舞いにきてくれた3才上のお兄さんに癌を告知されたくだり、サラサラ語られる口調に、オットヲ、と涙が出ました。
『死』をつきつけられて、今の『生』の有り難さを知る。
日めくりの1日1日が大切である。
そして気負いのないギャグの連発。
久しぶりに関西流『泣き笑い』を堪能しました。
話の間の客席への『目配り』も勉強になった。

『勧進帳』は、太夫のコンサートマスター

『文楽鑑賞教室』は7日から始まってます。
ボクの出演は後半の部で、15日から(23日まで)です。
明日から清介さんと稽古を再開します。
この数日、集中力を欠きつつも、師匠の『封印切』のテープを改めて聞き直しました。
この『封印切』のことで青息吐息状態なのに、7月7日8日の南座では『勧進帳』の『弁慶』という大役が待ってます。
しかも三味線が清治兄。
気が遠くなりまっせ。
『勧進帳』は太夫、三味線が5人ずつ床に並ぶ「掛け合い」形式なので、ボクは単に『弁慶』だけを語っていれば良いのではなく、太夫の合奏のコンサートマスターの役目もせねばなりません。
今、その『勧進帳』のテープを聞き始めていますが、よっぽどシッカリ頭に叩き込んでいないとアキマヘンのや。
興奮しつつ大きな声を出すと、三味線の音も隣りの太夫の人の声も聞こえんようになり、太夫5人がブワッーと声を張り上げたら残響も重なり合い、次にどこで声を出したらいいのかワカランようになるんですわ。
三味線5挺の音も凄まじいし…。