カテゴリー別アーカイブ: “若”旅日記

『三段目』を語り終え、ヒコーキで帰阪。

今日の舞台は少し、しんどかった。
しかし、しんどい時は芸はアカンか、というとそうでもない。
しんどい時の方がなんとかカッコつけようと必死になるから、おもわぬ感動を呼ぶことがある。
うけとる側もぶっぱなす側もその日の体調もあるが、心構えの方が大事。
自覚として、今公演でいちばんノッタのは神奈川の橋本での公演の時。
まだ17日の千秋楽の名古屋が残ってるが・・。
明日は文楽劇場で喜一朗君と『又助の中』を稽古してから、名古屋へ。
ゴスペル文楽関係の用事で金城学院を訪問。
名古屋公演にはいろんな知人、お客様がいらっしゃいます。
がんばりまっせ。

札幌で日曜礼拝に出席の後、旭川公演へ。寒くなく好天

朝、札幌北一条教会(日本キリスト教会)へ。
数年前、イスラエル巡礼で御一緒した好青年、秋本英彦師が伝道師として最近、こちらへ赴任された。
運よく、彼のメッセージ担当日だった!大きな教会で、300人程の会衆。
彼が美深(びふか=旭川と宗谷岬の中間)の小さな教会の牧師だった頃、賛美義太夫で招かれたが、この差異にびっくり。
説教『ベトザタの池での癒し』も30分間程のストレートなケレン味のない、時間をかけたであろう内容。
よくまとまってました。
最後まで聞いてタクシーに乗り込み札幌駅11時30分発の旭川行き特急に滑り込み。
旭川のお客様も芝居通。
道端の木の紅葉が目にしみました。

盛岡から特急を乗り継ぎ札幌へ。夜、加藤玄と会う。

今日は移動日。
本隊は仙台に戻りヒコーキ。
ボクはのんびり旅(8時間)を選ぶ。
10時16分発の《はつかり》の普通指定席は完売。
思い切って札幌までグリーン席をはりこんだが、これが正解。
寛治兄(『四段目』の三味線)御夫妻とも一緒の車両になり、昼弁当を頂戴した。
函館から札幌までの窓外の景観が殊更よく、おまけに一人席でゆったり。
大沼公園の紅葉がぼちぼち。
10年程前の巡業で呂大夫兄らと湖畔のすぐそばの旅館をとり、夕景の紅葉に埋もれたことを思い出した。
札幌に着き、ホテルでシャワーを浴びたあと、元国立劇場勤務の超破滅型ニヒリスト加藤玄と食事。
ボクハコノヒトト、ナゼカ、気ガ合イマンネンヤワ。
安い、早い、うまい店で、とりとめのないことばかり喋った。
ホンナラと、帰り際、長めに手をふる。
『今生の別れみたいなことするなよ』と加藤が云う。

盛岡公演。秋田の大館より、佐藤和子さんら十人来場。

佐藤さんの学校時代の同級生やら、源氏物語研究会が母体の文楽愛好グループ。
数年前には東京の国立劇場にも15人位でお見えになられました。
昼の部終演後、楽屋にて清之助君に人形解説をしてもらい、メトロポリタンホテルへ。
会食しながら文楽よもやま話。
何を喋ったか忘れたが、あっというまに四時間。
花鳥風月の移ろいに敏感な、明るく穏健な方々。
類は類を呼び、佐藤さんを中心に《和》がある。
なごやかな流れのうちに、芸術、宗教、人生論。
ゴスペル文楽にも興味を示され、全員がCDを買って下さり、そのオリジナリティに感嘆の声。
来年6月には是非、十和田湖へとの事!

福島公演。夜、盛岡で咲大夫兄に寿司をご馳走になる。

福島県文化センターでの公演。
大きいホールがほぼ満席。
いい雰囲気でした。
咲兄の『四段目』が終わるのを待って、兄と清友さん、南都君らと新幹線で福島から明日の公演先の盛岡へ。
車内でウトウトしながらふと思った。
先代の綱大夫師の息子の咲兄が『忠臣蔵の四段目』。
若大夫の孫のボクが『三段目』。
不思議な巡り合わせでんなあ。
夜、咲兄からの誘いで寿司屋へ。
清友、南都君も。
何を食べても、おいしかった。
兄の、芝居に関する含蓄ある意見やら種明かしも、エライご馳走。
いろんな話題が出て、抱腹絶倒。
巡業ならではのシチュエイション。
時間を忘れました。