《寒い汗》について

毎日大声を上げてお客さんの前で語るのは、かなりのプレッシャーですね。
冷静さと夢中を織り交ぜながら、声量に配慮しなければいけません。
タマには舌を噛む時もあるし、床本を間違っていちどに2、3枚めくって慌てたりもします。
太夫が語りを中止すれば、芝居は終わり。
ですから、芝居継続のキーポイントを、任せられてイルンだの自覚が、非常につらい。
目一杯の汗を流し、気持や声量を冷静に抑制しながら、浄瑠璃の枠に踏み留まらなければならない。
聴いているのはお客さんだけではない。
舞台の人形遣いさん、楽屋にいる師匠先輩方の耳にも入っているのだ。
汗が寒い。