再び(8月4日)『紙屑屋のおんごく』。

あと一日。
嬉しいなあ。
舞台中はどこか緊張していて落ち着きまへん。
さて、この前の『紙屑屋のおんごく』。
『おんごく』とは『遠国』に起因するらしい。
小佐田定雄氏が昔の文芸志『上方』の表紙を持ってきて下さった。
先々代の長谷川貞信師の『おんごく』の図が表紙だ。
桐竹小紋兄(「ワテらの子供時分にもこんなんあったワ」)も偶然居合わせ、楽屋口のガードマンの前の椅子に腰掛けて、一緒に見た。
可愛い盛りの五才から十二才くらいの子供らが綺麗な浴衣で着飾って、髪結いして、今夜だけは夜更かしOKの夏のある晩、『オンゴクナハハ・・』と唱和しつつ前の子の帯を持ち数珠つなぎになって、町内を歩き回る。
途中でいろんな列とすれ違う。
見守る親たちは夜空にふと、遠国(出身地)に思いを馳せる。
紅い提灯に照り映える子供らの顔と目…。
『紙屑、余ってまへんか』から『余ってん…』『てん…』と進化した屑やさんの呼び声。
三味線の一の糸は『ドン』、二の糸は『トン』、三は『テン』と云う。
三味線にみたてた箒を爪弾きながら『あ、てん、あ、てん、テン、テン、テン…』とふざける太兵衛。
『まるで紙屑屋のおんごくじゃガナ』と、シャレてみせる善六。