『封印切の段』の《八右衛門》は、嫌なヤツだ

毎日、『封印切』のテープを2、3時間聞いて予習しているが、そこに登場してくる《八右衛門》(はっちぇもん=と発音する)という赤面(あかづら)の首(かしら)の悪役は嫌なやつでっせ。
《梅川》と《忠兵衛》にヤキモチを焼くあまり、二人を『心中』にまで誘発させるアノ手コノ手を使いまんねん。
嫉妬ってコワイもんでんナア。
このオッサンを友達思いの一面もあるなんて解釈する向きもあるそうですが、ボクはこんなオッサン、一番悪質やとおもいます。
越路師匠のテープ聞かせてもうてて、この八右衛門に腹が立ってきまんねん。
『曽根崎心中』に出てくる、《お初、徳兵衛》を嫉妬して詐欺を働く、れっきとした悪もんの《九平次》の方が筋が通ってまっせ。
男のメンツとばかり八右衛門に、他人の預り金の300百両を投げつけてワナワナ震える忠兵衛を諌めに二階から梅川が、かけ降りてくる。
収まりの着かないキレマクリの紛糾時に、ナント、梅川の長あ~~いサワリが始まる。
『小判の上にハラハラと涙』をこぼすまで、《時空》が止まる。