拾い読みno.3。『宗教のふしぎな世界』(五木寛之)

『宗教、という言葉が私はあまり好きではない。
素直に言ってしまえば、嫌いである。
世の中には、宗教に関係している人が無数にいる。
ふつう無宗教の国民などと誤解されがちな日本人だが、実際には驚くほどの宗教人口をかかえている。
しかし、ふしぎなことに、実際に私の周囲を見回してみると、それが見えてこない。
…元旦の明治神宮には、毎年、三百万人以上の初詣での人びとがおしかけるらしい。
…夏のお盆の時期に帰省して、お墓参りにいく人たちも相当な数にのぼる。
それにもかかわらず、宗教、というものの手ごたえが、これほど日常生活のなかで希薄なのは、一体、どういうことなのだろうか。
…政教分離というのが、この国の原則である。
戦前、戦中において、国家神道=天皇制と政治の合体がこの国を不幸にした、という反省から政教分離のルールができたのだろう。
…では、戦後この国がお手本としてきたアメリカの政治は、はたして政教分離か?アメリカでは大統領が就任する時、手をおいて宣誓するのは、一体、なんなのか。