夏公演のお稽古開始。

七・八月公演の私の役は『埴生村(はにゅうむら)の段』の中(なか)。
『中』というのはメーンの切場に直通する重要な役どころで、立端場(たてはば)とも呼ばれている。
床盆の上で語っている最中に、次の『切場語り』が盆に乗ってくる気配を感じる、たいへんプレッシャーのかかる持ち場デンネン。
今回の『中』も、30分弱程のとてもいい場面です。
しかし、今日は稽古初日(喜左衛門兄)で、蚊の鳴くような声しか出えしまへんでした。
稽古初日はいつもイヤなもんですわ。
九月東京の役も『河庄の中』。
いわゆる『口三味線の段』と呼ばれ、ナカナカええもんデッセ!『立端場を語ってる時が太夫としてイチバン楽しい時じゃ』とは、亡くなられた越路師匠のオコトバ。