土曜の夜、文楽。

首実検がセーフとなり松王と玄蕃が退場。
ここで床がクルット廻り、太夫替わり。
いきなりハイテンションで『夫婦は門(カド)の戸ピッシャリ閉め…』と語っていくうち、息つくヒマもなく千代が登場。
『ひとつのがれて又ひとつコリャマアナントどうしょうと』の高鳴る胸を抑えて、再び『門(カド)の戸ガラリ引き開け』る源蔵。
わが子の死を確認しにきた母親の千代に喜怒哀楽の形容はできない。
源蔵とは初対面だ。
『これはまあ。
お師匠様でござりますか。
悪さをお頼み申します』。
この詞のへんが肉体的にいちばんしんどい。
『どこにいやるぞ、お邪魔であろ』と内を覗きながら家に入る千代。
小太郎の死を理解しつつも、まだ生きているかも…。
今夜、松王の泣き笑いのところで今公演初めての拍手!。
このあとイロハ送りから段切りへと、舞台と客席が溶け合う感じで盛り上がっていきました。
悲劇を悲劇として真剣に悲劇を演じるのではなく、あくまでSHOWの芝居のパフォーマンスの『糧』であるとの認識を基盤にして演じた方が、『感激』は異次元に拡がっていく…という様な強気な態度でよいのでしょうか。