「悪の解放装置」

歌舞伎を50年近く見つづけている詩人の高橋睦郎氏。
彼はこういう~観客にとって歌舞伎は「悪の解放装置」である、と。
一般人は溜まった悪をそのまま社会生活に発散させることはできない。
観客は歌舞伎を観ることで悪心を発散させ、さてこそ翌日から善を表にたてての社会生活が送られる。
旧時代の世間は、歌舞伎役者を世外の徒とみなすことで、彼の私生活での偏向をかなりの程度大目に見た。
善悪未分の世界の表現者たるものにはすべて、内面的に世外の徒であることの自覚、むしろ自負が必須ではないか~自負!!←カッコええなあ。
感服の至り。
相撲の八百長なんか、文楽の「関取千両幡」にも出てくる。
当時から普通に成立している問題だ。
悪人を仕立てあげて己の正義感を充たすのも現代の我らの生きる術(すべ)なのだろうか?