浪花の芸の艶=「義太夫と上方落語の会 in 東京」

東京の斎藤俊太様から先日の「義太夫と上方落語の会」@東京青山の感想が寄せられました!~
「義太夫と上方落語の会 in 東京」
楽しいイベントを昼夜堪能させていただきました。

 義太夫語り+文楽や歌舞伎を素材に活かした軽妙な上方落語。
この組み合わせにより、上方で生まれ人々に愛され育まれてきた語りの芸能の豊かさが重層的に見えてくる、というそれは粋な趣向。

 特に昼の部は、落語の『どうらんの幸助』(喧嘩の仲裁をすることに喜びを感じるお金持ちのじいさんが主人公)で実際『お半長』(=『桂川連理柵』)の「帯屋の段」のひとくだりを素人さんが稽古をする場面が登場し、後半の面白さも『お半長』をベースに展開。
そのあとに英大夫が「元ネタ」となっている「帯屋の段」を語られるのですから、これはもう贅沢というしかありません!
 「偽喧嘩」し幸助さんに仲裁してもらい仲直りのお酒をごちそうしてもらおうともくろむ暇な男たちや、義太夫のお稽古に今一つ身が入らない男を愛らしく語る桂雀松さんの飄々とした味わい。

 英大夫は、「鬼ババ」おとせや「根性いがんでる」儀兵衛や「洟すすり込む」長吉など表情豊かに(お顔も含め)語られ、世話物の庶民の世界が生き生きと現れ出ておりました。

 語られる英大夫が醸し出す空気の何とも艶っぽかったこと!これぞ、浪花の芸の艶でありましょう。

 夜の部の義太夫と落語の共通素材が『仮名手本忠臣蔵』だったので、喜劇的なチャリの場面を含む昼間の世話物と切腹の悲劇的な場面を含む夜の時代物とのコントラストも楽しゅうございました。

青山の銕仙会能楽研究所のキリリとした雰囲気が各演目の味わいをくっきりと際立たせていて、聴いているこちらも心地よい緊張を感じながらそれぞれを鑑賞できたように思います。
うーん、満足!
 打ち上げにも参加させていただきましたが、最後は英大夫のリードで、あのゆったりと心地よい大阪〆。
パンフレットに小佐田定雄さんが書かれていた「濃厚な浪花の空気」を最後まで深呼吸することができました。

 英大夫プロデュース兼主演。
大役を果たされた英さま、本当にお疲れさまでした。
豊かなひとときをありがとうございました。

今週末は、大阪は御霊神社でのイベント。
ご成功を祈っております。