義経千本桜~獣類の無垢をもって

以下、和歌山在住の田村順三さんからいただいたお便りを読んでの日記です。

一昨年、山本能楽堂でジョイントさせていただいた詩人の高橋睦郎さんが岩波書店の月刊「図書」3月号に浄瑠璃について書いておられる。
 題は”獣類までも含んで”というもので、義経千本桜について書かれています。
その最後のページからの抜粋です:
「公家社会を支えたのは武家、武家を支えたのは百姓、百姓の下に下民、下民のさらに下には獣類がある。
しめくくりに 獣類の無垢をもって浄めなければ真の鎮魂は成立しない。
この ほとんど宇宙大ともいうべき世界認識の上に成り立っているのが義経千本桜という壮大な詩である……矛盾に満ちた人間社会を下支えし、その犠牲になっている獣類の霊の力で浄めることによって、はじめて真の鎮魂が成立する」
なんという名文であろうか!驚愕の身震いを禁じえません。