3/14(土)「浪花の空気」@青山銕仙会能楽研修所

3月4日に大阪NHKで清友さんと「勘平腹切」の録音をします。
その稽古に励んでますが、帰宅後、「刑事コロンボ」の溜め置き録画を観ているうちウトウトしてしまい、夜10時には高いびき(家人の話)の毎日。
で、深夜に目覚め、日記を書いてます。
下記は3月14日(土)の「義太夫と上方落語の会」における小佐田定雄先生(落語作家)の巻頭のことばです。
許可を得て、先行発表いたします。

「浪花の空気」
大阪弁でなかったら「おまえ、訛ってるで」と注意される芸能が二つあります。
一つは上方落語、もうひとつが義太夫の世界です。
いずれも大阪で生まれ育った芸能で、ほぼ同じ時代に発生した…とうかがいました。
近松門左衛門作の名作『曽根崎心中』の生玉の段に「物真似聞きにそれそこへ」という文句があります。
この「物真似」というのは、現代の声帯模写とはちがい、当時「仕方物真似」と呼ばれていた「落語」のことなのです。
その仕方物真似で評判を取っていたのが大阪落語の創始者である初代米沢彦八でした。
つまり、二つの芸能がまさに同じ時代に生きていた証拠なのです。
さらに、義太夫節の創始者の竹本義太夫と、大阪落語の始祖・初代米沢彦八が同じ一七一四年に亡くなっていることも、浅からぬ「ご縁」を感じるのです。
その「ご縁」が三百年後の今日、古典芸能の殿堂である能楽堂で復活することになりました。

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 上方落語には義太夫に大きな影響を受けている噺がたくさんあります。
今日はそんな噺を二席選んでお楽しみいただきましょう。
昔の大阪の人間にとって、義太夫は最高の娯楽であり一般常識だったのです。
  昼の部でお聞きいただきます『どうらんの幸助』は、そんな「常識」を知らない人物が活躍するという噺です。
幸助さんが知らなかったのは通称を『お半長』と呼ばれている『桂川連理柵』という作品。
どんな物語なのかは落語の中で説明してくれます。
(明日に続く)