松竹座「女殺油地獄(オンナゴロシアブラジゴク)」

亀治郎&愛之助ご贔屓の佐久間さんと森長さん(二人とも義太夫教室の生徒)の招待を受け、道頓堀松竹座で「女殺油地獄」を観た。
所用で他の演目を観れなかったのは残念だが、「油地獄」には感動した。
市川亀治郎(お吉)を観たのは初めてだが、聞きしに勝る魅力を感じた。
セリフも演技もいいから視線も生きていた。
おもだか屋はいい後継者を得たものだ。
片岡愛之助(与兵衛)の真摯な芸も際立った。
大阪訛りが堂に入っているとかいう段階ではなく、芝居として抜けたものがあった。
その「抜けたもの」を醸しだしたのは坂東竹三郎(母おさわ)と嵐橘三郎(父徳兵衛)だ。
この二人の所作セリフには泣かされた。
歌舞伎を観ていつも感動感心させられるが、涙が滲むのは初めての体験。
脇役の重要さを思い知った。
いやしかし不思議なことに、登場したすべての役者が芝居に溶け込んでいた。
キャスティングの賜物でもある。