《河内ワイン》で素浄瑠璃『阿波の鳴門』。

三味線は団七兄。
伝統のある河内(羽曳野市駒ヶ谷)のワイナリー。
楽屋がわりに使わせていただいた母屋の風情にうっとり。
耳が痛いほど静か。
時の試みを経た庭の造りには目も心も癒された。
その隣に立つイベントホール《salon de trois》での催し。
小さいホールに50人ほどのひとがミチミチ。
終演後は料理毎にチョイスされた自家製ものやらスペイン、フランス、ドイツのワインが提供された。
河内ワイン専務の金堂さんと、惜しみない取り次ぎの労をしてくださった川上さんに深く感謝します。
早速、お便りが届いてます→《今日はまた極上の素浄瑠璃をありがとうございました。
実は他に用事があり、夫に代理で行ってもらおうかと思ったのですが、来て正解でした。
英大夫さんと団七さんの素浄瑠璃は、やはり密度が違う、迫力が違う、浄瑠璃の構成力が違う、違いすぎます!初めは落ち着いて義太夫の節や音の使い方を聞いてみよう、と思っていたのですが、「逢いたいことぢゃ、逢いたい」でまずぐっと掴まれ、「又このおばを泣かすのか」で波状攻撃が来て、「ま一度こちら向いてたも」で打ち抜かれて、完全に仕留められました。
「お涙頂戴」とか「泣かせるより笑わせるのが難しい」とかいいますが、親子の別れの悲劇を、こうも隙なく完璧に盛り上げられると、泣かない方がおかしいです。
でも、その全体をクライマックスに向けてドラマチックに仕上げていくというのは、並大抵のことではありません。
詞の一つ一つの呼吸と調子、そこに入る一撥一撥が、まさにピンポイントの正確さで攻めてくるのです。
すごいというよりただ圧倒されて、完全にお弓の気持ちになってしまいました。
おふたりのお力に、ただただ脱帽するのみです。
あとのワインは全く頂けない私には残念でしたが、お料理も一つ一つが丁寧でおいしくて、こうした劇的な緊張のあとを楽しくほぐしていただきました。
》。