鈴木春信作「見立鉢の木」。ひやひやひや、ああ冷たや…。

★ 鈴木春信(享保10年/1725-明和7年/1770) 「見立鉢の木」 宝暦(1751-64)末期。
解説によると、この図は従来、謡曲『鉢木』の見立と考えられていが、長く忘れられていた浄瑠璃『女鉢木』の存在が美術史家の知るところとなり、近年、浄瑠璃、歌舞伎の『女鉢木』の見立であると改められたそうです。
江戸時代の風俗で庇の雪を竹箒で掃らう女性、軒下の梅の盆栽に、雪折れ竹。
遠景に旅僧に身をやつした最明寺時頼という道具立て。
まさに『女鉢木』の冒頭…雪折竹の揚げ簀戸や…庇の雪をかき落とし、落とせば襟に袖口に、ひやひやひや、ああ冷たやと手を拭くも…の情景。
女性は常世の妻の妹の方です。
←《2002年「青春の浮世絵師 鈴木春信-江戸のカラリスト登場」展覧会図録より(千葉市美術館・他巡回)》。