『野球のファウル球と祖父若大夫』②

祖父は糖尿病の関係で50半ばに失明してましたから、何もみえないんです。
野球好きの中学生の私が祖父(当時70才過ぎ)の手をひいてのお供。
試合の状況を説明する私の横で、祖父は球音とか観衆の声援を無邪気に楽しんでいました。
しかし、先ほどの新聞記事で思い出したんですが、私は観戦を楽しむ一方、もしホームランが飛んできて祖父のデコチンにでも当たりはしないか、非常に気をもんでました。
当たったらかすり傷で済みません。
だから、カキーンと打球のイイ音がしてこちらの方へ飛んでくる気配がするたび、心臓がとび出るくらいドキドキしました。
手にあるサンドイッチやサイダーを投げ捨て、身を挺してボールに飛びつかん覚悟。
ライナー性の打球の行方ってわからんもんでっせ。
一度、祖父のほんの数メートル上に打球が飛び込んだことがありましたが、あの時、祖父は何も知らん赤ん坊みたいに弁当片手に、笑うてました。
そやけど今でも球場へ行く度、スタンドへライナーで飛び込むファウルやホームランボールの存在は気になります。
考えようによったら、金網のないところでの観戦は命がけでっせ。