『母者人、お前のお手で縄をかけ・・』

一昨年の十二月の東京国立劇場の学生鑑賞教室の役は『引窓』。
そのお稽古は、故呂大夫兄にしてもらいました。
その中に濡髪長五郎のコトバ『母者人、お前のお手で縄をかけ、与平衛どんへ、お渡しなされて下さりませ』があります。
この、音(おん)ちゅうか響きちゅうか声の高低ちゅうか、なんともいえん濡髪長五郎の言い方を兄に教えてもろたんです。
何回も一緒に語って下さり、ボクの音が偶然そこに届くと、『そうや、それや!』の声。
人格を破壊するような叱責はなく、単刀直入に正解へ導く適切な指導でした。
それが、ボクの大きな財産になりました。