『大胆は緻密の塊り』簑太郎君の芸

今夜も口上の時『英大夫!』の声がかかりました。
このお客さんかどうか判りませんが、ロビーで素浄瑠璃のチケットを売っている清丈君に『これを(高島屋の紙袋)英大夫さんに渡してください』との言付けがありましてん。
50過ぎ位の男の人でした、という清丈君から手渡された袋を開けると麻のスポーツシャツ。
『団七に感動し今公演に度々足を運んでいます』と添え書きがついていました。
『他の人の関連で楽屋にもよく顔を出して』いらっしゃるとのこと。
ホンマ、有り難いことです。
どなたが期待して舞台を聴いて下さっているかワカリマヘン。
きばらにゃあきませんなあ。
さて、簑太郎君の団七は今日で終わりました(明日からは玉女ちゃん)。
床から本舞台は見えませんが、右目の端の方で人形の動く気配は伝わってきます。
簑太郎君はボクが語る団七のコトバと状況を、卓越した人形の動きの渦中で把握仕切り、尚且つ玉男師の義平次との距離感やら感情の移ろいを緻密に獲得しつつ、ズバッと大胆に演劇空間の時限に己が魂魄を切り込んできます。
ボクの語りの間やら寸法を瞬時に飲み込み、先に息を使い、頭(かしら)や手足の動きをピタリとキメるんです。
スゴイ人でんなあ。