文楽協会の大内晶(アキラ)次長が急逝(64才)。

大内氏はNHKの報道畑の出身。
神戸、東京、ロンドン、神戸と栄転を重ねられ、最後は文楽協会に奉職された。
三年前の秋、ブラジル・メキシコ公演に同行してくださり、メキシコ公演では、ブラジルで急病にかかり途中帰国したベテラン文楽協会職員の職務を兼任されながら、文楽公演を成功に導かれた。
僕は特に、メキシコでは、お世話になった。
毎晩のように、大内さんの部屋に行き、氏のノートパソコンを借りて、打った。
部屋を覗くと必ず、茶めっきタップリの声で『…ちゃん(カワイイ、チャーミングな奥様のこと)にメールを出してからね!』、と言いながら、一心不乱にパソコンに向かう大内さんの姿があった。
その奥様が二年前に、なくなられた。
『…ちゃん』の死を知った時、僕は、大内さんに慰めのコトバをかけられなかった。
結局、最後まで、奥様のことには触れずにおわった。
式場には、氏の愛唱曲『なごり雪』のピアノ演奏が流れた。