危険がアブナイ

『泥場』の最後、『八丁目、さして~エ~エ~…』で床本を戴いて、お辞儀をすると床がクルッと廻ります。
暗い盆の裏で額の汗を拭きながら寛治兄に『ありがとうございます』と挨拶したら、兄が床から立ち上がり際『雄ちゃん、今日が一番良かったね』と仰って下さいました。
寛治兄の楽屋の前では先に床を降りた伊達大夫兄が着替えて待ってられます。
挨拶をしたら、伊達兄も『今日、少し出来てた。
少しやで』と云って下さいました。
ホンマ嬉しいことですが、語っていて、快調やという自覚がなかったんですワ。
体調が悪いとは思いませんでしたが、只精一杯語らせていただいてるだけで、初日から通して舞台中、『調子がいい』なんて感じたことありません。
ところがこのところ、いままでなかった声の『待ってました』や『英大夫』が客席からかかるようになるという、狐につままれたような不思議な現象が起ってます。
しかし、『人間万事塞翁が馬』『禍福は糾える縄の如し』の譬えの通り、こんな時こそ『危険がアブナイ』。
調子にのらんと気イつけてフツーにやりまっさ。