『長右衛門』のこと。続き。

壮絶稽古がヤレヤレ終りかと床本を閉じたあと、『まだ頼りないから、もう一回やれ』。
で、繰り返したら案の定頭の中真っ白状態で教えられたことをまるでやれなかった。
ホンデカラ、『もう、お前の稽古は一生、せえへんわ。
うちの家の敷居をまたぐな!』と言われ、身体が硬直。
ビックリした当時勝平兄、現喜左衛門兄が小声で僕に『心を入れ替えまして修業し直しますから、お許しくださいませ』と言え、というので僕はその場に這いつくばってそのように言った。
そんなことがあったが、今の住大夫兄の年代はそういう厳しい稽古が日常茶飯事やったんでしょうなあ。