昨日の続き

オヤッサンはこの静枝母と離婚して三番目の妻と一緒になった。
この方は15年程前に交通事故で亡くなられ、静枝母は6年前に召天。
オヤッサンは今、最後の妻との間にできた娘夫婦と暮している。
さて、祖父若大夫は二人の息子がそれぞれ6才になった時、義太夫を教えたらしい。
祖母からは琴三味線も習ったという。
しかし、芸ごとに不向きだと判明した途端、学校の勉学に切り替え。
長男は北野中学から九州大を経て商社へ。
次男は天王寺中学から早稲田大を経て保険会社へ。
当時としては自慢の二人息子だ。
教育資金は皆、浄瑠璃を教えているご贔屓が出してくれた。
証券会社の社長さんやら二代目三代目の大旦那やら…。
銀座の丸善では高価な本でも買い放題。
満州にも浄瑠璃ファンは多く、よく巡業にでかけたらしい。
とにかく、戦争前は『いい』時代だったそうな。
K氏→『若大夫と英大夫の似てるところはありますか?』。
オヤッサン→『こだわらんとこやな。
ふたりとも物事にあんまり拘われへんわ』。