『楼門の段』のお稽古始まる

三味線は宗助君。
いつものことだが、稽古初日からしばらくはホンマ、雲をつかむような感じ。
ハラはできてないし、蚊の鳴くような声やし・・。
めげずにガンバロ。
紋寿兄に、たこ梅に誘われた。
兄は国性爺の錦祥女を遣われる。
ご迷惑かけますと、頭を下げてきた。
長く日本を離れていて、ある日突然父と母と兄がやってくる。
はるばる日本から。
錦祥女は、中国の将軍の妻の身。
二歳の時離れて以来肌身離さずもっている父の姿絵。
天守閣から見下ろすと老人はまさに、姿絵のひと。
懐かしい、なんてもんとちゃうで。
情や情やで。
そこらへんの情が出ないとアカン。
互いにガンバロ、と兄。